センターだより

オンライン授業に関するアンケートの結果

2020/06/05

2020年の3月中旬から始まった、オンライン授業。6月5日現在も、絶讃続行中です。日本でよく聞く「参加者全員画面真っ黒」ということはなく、毎日学生の元気な顔を見ながら、授業をしています。

オンライン授業に、学生も教師も少し慣れた5月の半ばに、アンケートを実施しました(Googleフォーム使用)。その結果を、一部紹介したいと思います。

 

(あ)インターネットの問題

オンライン授業に関する不満として、ダントツだったのは、インターネットの問題です(授業に対する不満が一番ではなくて、少しホッとしました…)。学生の6割が、自宅にWi-Fiが引かれていて、その他はスマートフォンを使ったテザリングで、インターネットに接続しているようですが、多くの人が「声が聞こえにくい」「画面が止まる」などインターネットの速度にストレスを感じていることがわかりました。

(い)ツールや設備の問題

CJLCは、オンライン授業でzoomを使用しています。ノート・パソコン、タブレット端末で参加している学生と、スマートフォンで参加している学生が半々くらいでした。そして、学生全体のうち、スマートフォンのみでオンライン授業に参加している学生が2割程度いることがわかりました。「パソコンを買いたい」「タブレットを買いたい」などのコメントも見られました。また、プリンターを持っている学生は、全体の1割程度に過ぎませんでした。しかし、学生の約8割は「大切だと思う資料は印刷する」と、各自が判断して行っていることが伺えました。

(う)オンライン授業のメリット、デメリット

コメントの中に、オンライン授業にメリットを感じている者も少なくありませんでした。その多くは、「通学時間の短縮」を挙げていました。プノンペンはそんなに大きな街ではありませんが、近年は交通事情が悪く、時間帯によっては渋滞などで本来なら20分程度で行ける場所も、1時間以上かかることもあります。オンライン授業はそのような不便さを軽減してくれているようです。また、対面で会うことがなくなった代わりに、様々なツールを使って教師と学生がコミュニケーションをとるように心がけているため、以前よりもコミュニケーションしやすくなったというコメントも見られました。

一方で、もちろんデメリットも感じているようです。多くは、やはり「インターネットの問題」を挙げていました。それ以外には、自宅にいると勉強に集中できない、家族に用事を頼まれる、周りがうるさい、画面を見続けることで健康面に影響が出る、などといったコメントが見られました。

以上のような結果を受け、以下のようなことを考えました(あくまでも筆者[日本語教師]個人の考えです)。

(あ)については、もしかしたら「画面の顔出し」をやめれば問題は解決するのかもしれません。もしそうならば、こちらからは学生が理解したかどうかを顔を見て確認するということができませんし、何よりちょっと寂しい…でも、それも慣れの問題なのでしょう。顔を見なくても、学生の理解度が測れるような問いかけやタスクを行うなど、教師としてできることはあるはずです。

(い)は、学生の経済的事情にもよりますので、むやみに「あれを買いなさい」「これを買いなさい」と言うことはできません。しかし、スマートフォンだけで授業に参加している学生に対しては、もしCJLで勉強を続ける場合、ある程度の設備投資は必要であることを、どこかで話す必要があると思います。また、これまでは授業の資料は教師が印刷して渡すことが多かったのですが、オンライン授業となり、資料はデータでのやり取りが中心と変化しました。しかし、これまでの学習習慣から、紙の資料が欲しいと考える学生は多いようです。その場合、プリンターが自宅になかったら、近くの印刷屋に行って印刷をするしかありませんが、毎回の授業を全て印刷することはおそらく難しいでしょう。学生は、これからオンライン授業に合った、新しい学習習慣(例えば、授業中にノートをとるなど)を身につける必要がありますし、それを教師がアドバイスする必要があると感じました。

今回のアンケートでは、学生自身の学習方法や、それに対する自己評価などを聞く質問がありませんでした。また、授業全体に対する満足度は聞いても、それぞれの授業のことについて細かく聞きませんでした。これは次回のアンケートで、ぜひ聞いてみたいと思います(「今後の課題」というヤツですね)。

以上、オンライン授業に関するアンケートの結果の一部と、それに対する筆者の個人的考察を紹介しました。オンライン授業がいつまで続くか、先はまったく読めませんが、学生も教師も、この状況で最善のことをし続けたいと思います。そして、この状況が終わった「後のこと」も、そろそろ考える時期かもしれませんね。