Research and Education Center for Japanese Law 日本法教育研究センター

センターの使命

法整備支援

 名古屋大学大学院法学研究科は、学部創立40周年事業の一環として、1991年4月に各界からの浄財をもとにアジア太平洋地域法政研究教育事業基金を設立し、機関としてアジア諸国の法・政治についての研究教育を開始することを決めました。それ以降、共同研究の推進を内容とするアジア諸国の法律政治学者との学術交流が活発となり、1994年の中国政法大学との学術交流協定の締結をはじめとしてアジア諸国の大学・研究機関との学術交流協定が多数結ばれました。
このように学術交流が深まっていく中、市場経済化の途上にある国々から、西欧法の継受国である日本の経験の教授を含めて法整備支援の要請が高まり、名古屋大学は機関としてこの要請に積極的にこたえることにしました。1998 年より、市場経済への移行など経済的・社会的改革を進めるアジア諸国に対する法整備支援事業に取り組んできました。

人材育成

こうした体制移行国では、時代に合った法学教育や体制の確立が遅れ、法の運用に実際に携わる人材が不足しています。これに対し法学研究科では、実際の立法・行政活動に携わる実務家や、次世代の法律家を育てる研究者を養成するため、これらの国々から多くの留学生を受け入れて教育を行なってきました。

大学における法整備支援とは

市場経済に適合する法律が整備されてもこれらを実際に運用する人材がいなければ、その法律などは死文化してしまいます。
そのため実際に運用することができる人材を育成すべく留学生を受け入れ、彼らに対し法律学・政治学の教育を行うことこそ大学にしかできない法整備支援です。
アジア諸国に対する法整備支援事業の中で、その人材の育成への協力は長い時間を要しますが、非常に重要な事業なのです。

従来の留学生教育の課題

 いままで法学研究科が行なってきた留学生教育の特徴は、「英語による日本法教育」という点にあります。語学教育も充実していない体制移行国の出身者に対して教育するため、学生と教員の双方が使える言語としてやむを得ず選択したという面がありますが、修了者からは多くの研究者・実務家が生まれており、その成果は高く評価されています。
 しかし、一方で、日本法教育を英語で実施することの問題点も次第に明らかになってきました。

  1. 英語で書かれた日本法に関する文献が限られていること
  2. 法律が改正された場合でもその英訳がなかなか入手できないこと
  3. それを前提にした英語文献ができるまでに相当の時間がかかること

などが上げられます。

日本語による日本法教育の意義

各国の法は、長い年月を掛けて培われてきたその国の文化の一部であり、他言語の単語に置き換えることができないことが多々あり、日本法を英語で教える場合もその例外ではありません。
留学生が日本法を本格的に学ぶには、日本語をまず修得させ、日本語で教えることが必要であると認識するにいたりました。
そこで名古屋大学は、文部科学省の助成を得て、日本法教育研究センターを開設しました。「日本語による日本法教育」を実現するため、体制移行国の現地大学と協力して日本語・日本法の教育を行なうための組織です。
すなわち、日本法教育研究センターは、日本の社会、文化、言語、そして日本法を理解できる専門家を、組織的かつ継続的に育成することを、その使命としています。

各国の日本法センター


▲5つのセンターと名古屋大学運営統括部の配置図

日本法教育研究センターは、名古屋大学に運営統括部を置き、ウズベキスタン(タシケント法科大学内、2005年設立)・モンゴル(モンゴル国立大学法学部内、2006年設立)・ベトナム(ハノイ、ハノイ法科大学内、2007年設立)・カンボジア(王立法経大学内、2009年設立)、ベトナム(ホーチミン、ホーチミン市法科大学内、2012年設立)、の4カ国5地点にセンターを設置しています。
各センターにはテレビ会議が設置され、遠隔授業やセンター間の交流、会議などに利用できます。

日本法教育研究センターの教育プログラム


▲日本法教育研究センターカリキュラム概念図

Step1 日本語教育

 日本法教育研究センターでは、現地大学の講義と並行して、日本語と日本法の教育を行います。
 まず、学部入学と同時に日本語の学習を開始します。その大学の課程に応じ、4年間(モンゴルのみ5年間)で、日本の大学院で日本語によって法学研究ができる能力を育成します。

Step2 日本法入門

 日本語学習と並行して、日本法の講義を行ないます。センターに常駐する日本人日本法講師が、3年生以上の学生を対象に講義を行なうほか、年2回のスクーリングも行います。これを通じて、日本法の構造や特徴に関する総合的な理解と、日本の大学院で研究を遂行できる能力の育成をめざします。
 さらに名古屋で行われる短期研修「夏季セミナー」への参加を通じて、日本社会を実際に体験します。

Step3 名古屋大学への留学

 センターの課程を終えた者の中から、名古屋大学大学院法学研究科への留学生を優先的に選抜し、日本法に秀でた研究者・高度専門人を養成します。
 名古屋大学は、日本語・日本法の十分な知識と理解を持つ専門家を、組織的・継続的に養成する拠点になることを目指します。

現地の研究拠点として

現地におけるセンターの教育以外での役割

  • 現地の法・政治に関する情報を収集する。
  • 日本から現地に向けた情報発信の拠点となる。
  • 日本と現地との間での共同研究を推進し、コーディネートする。

 法学研究科とセンター設置大学のあいだだけではなく、本学の他の研究科、さらには他の支援機関・研究機関と現地の協力体制を推進するために貢献することも目標とされています。

 
統括部からのお知らせ
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