Research and Education Center for Japanese Law 日本法教育研究センター

短期留学報告(名古屋から)

今年も、9月から文科省の日研生プログラムで日本に一年間
留学している学生がいます。
6期生のカエマリーさんです。カエマリーさんは名古屋大学に
留学中です。
名古屋に行ってから、いろいろな経験をしたようです。
その経験はきっと、これからの人生の糧になることでしょう。
残りの留学生活も、前向きに、楽しく、過ごしてくださいね。

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 昨年の9月末に日本で留学することになりました。日本に来る経験がありますがそんな長い間留学するなんて、今回が初めてです。確かに外国で生活するのは簡単なことではありません。来たばかりなのにすぐに帰国したいという気持ちもありました。
 私の留学先は名古屋大学です。ここに来て、はじめの印象は、カンボジアにいる日本人と、日本にいる日本人は、全く違うということです。カンボジアでの日本人は明るくて、やさしいので好きでした。とても親しみを感じました。しかし日本での日本人はそうではありません。無口で、真面目そうな顔をして、いつも急いでいるように見えます。笑顔はほとんど見たことがありません。日本に来た時、初めて電車に乗りました。駅で会う日本人の印象は今でも忘れられません。サラリーマンらしく、手元にカバンを持ちながら、何も見ないで早く歩く、何人かの男性でした。「はああ、仕事にとても忙しいのかもしれないなあ、そんな急ぐのは」と私は思いました。電車を待ちながら、周りの人を見ました。近くにいる高校生らしい人は、何も気にしないで携帯電話を夢中で見ていました。電車が来て、乗るとまた新しい風景を見ました。電車でしんとして、本当に静かでした。車両にいるのは、ほとんど日本人でした。私は外国人ですから、話しかけてくれないのはたぶん言語の問題からかもしれませんが、近くに座る日本人同士でも、ぜんぜん話しかけないのはちょっと変だと思いました。少なくとも「こんにちは」とか話しかけたらいいのに。カンボジア人だったらそうでもありません。「今日は、暑いですね!」とか「どこへ行く?」とか、見知らぬ人同士でも話しかけるのをよく見かけます。日本人が「明るい」と思っていた私は困惑してしまいました。日本人は自分以外の人間は、みんな物だと思っているのかもしれません。物と会話する人はいないですからね。ですから日本人がやや怖かったです。

 名古屋でどこかへ行くのに地下鉄がよく使われています。でもみなさんもご存知のとおりに地下鉄線は本当に複雑です。経験のない外国人の私にとって一人で乗ることは絶対できません。今までは誰かと一緒に乗っていたけど、初めて一人で地下鉄に乗った時、本当にドキドキしました。一人で地下鉄を乗れるなんて思ってもみませんでした。でも仕方がない、他人に頼るばかりではだめですから、とりあえず一人で乗ってみました。
 結果は大変でした。道に迷ってしまいました。何回も乗り換えたから元の所に戻ろうとしてもできません。駅も広いし、地下鉄線もたくさんあって、いったい何が何だかぜんぜん分かりませんでした。怖い日本人に聞いても、無視されるに違いないと思いましたから、できるだけ自分で道を探そうとしました。でも、結局できませんでした。
仕方がないので、日本人に道を聞くことにしました。周りにはたくさん日本人がいましたけどある人は顔を見るだけでびくびくしました。ある人は夢中にゲームをやったり、仲間と大声で話したりして、そういう人たちには道を聞くどころじゃないと思って、本当に困りました。私が慌ているところを一人で電車を待っている女性に見られました。顔も優しそうだし、そしてせっかく見られたから彼女に聞くことにしました。実はちょっとためらっていましたが、勇気を出して聞いてみると案外に親切に詳しく説明したり、心配したりしてくれました。その女性のおかげで、寮に帰れました。彼女の笑顔はいまだにしっかり覚えています。その経験一つの大事なことを理解できるようになりました。
 思い込みと言う言葉をご存知ですか。「私が正しい」、「これは絶対こうあるべきです!」という考え方です。私は、「日本での日本人は怖い」、「他人を物と見做す日本人は、私のことを無視するはずです!」と思い込んでいました。
 しかしその日からいくつかのことに気がつきました。手にいっぱい本を持っている私の姿を見て、ドア開けておいてくれる日本人、毎日大学へ行く時「おはようございます」と話しかけてくれる、寮で働いているおじいさん、お金を引き出すとき忘れ物があって教えてくれる女性のこと、いっぱい親切にしてくれた人がいたのに、思い込みのせいで、ぜんぜん気が付かなかったのです。
 自分の考え方に固執していて、それまでは日本での良いことがぜんぜん見えませんでした。でも、思い込みを少しだけ捨てれば、物事の見方を変えられます。
 今なら「怖い日本人」という言葉はもうないです。しかし「面白い日本人」という新しいことばが出て来ました。今でも日本人のことよく理解できませんが、何とか思い込みを捨てることによって、悪い面だけではなく、彼らの良い面も見えるようになりました。怖そうですが親切、無口そうですが明るい、まじめそうですがユーモア、日本人は一見しただけでは分かりません。これから、勉強だけではなく、日本人についても、もっと理解したいと思っています。


 
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