センターだより

新潟賞日本語スピーチコンテスト 最優秀賞受賞

2018/10/17

少し前になりますが、9月13日に新潟県国際交流協会主催のスピーチコンテストが行われ、3年生のソヨル・エルデネさんが見事最優秀賞に輝きました!

テーマは「日本との友好交流をどう進めるか」。

皆さんならどんな切り口でスピーチをしますか?

ソヨル・エルデネさんが選んだのは、ずばり「肉と経済」。

「経済」をとりあげたのは「法学を学ぶ身として、人権が守られる世の中でなければならないと思っている。そして、人権が守られるためには国の経済がしっかりしていることが欠かせないと思う」からだそうです。

「肉」を選んだ理由は…言うまでもありませんね。

 では、特別に許可をいただきましたので、彼女のスピーチの全文を載せます。モンゴルの若者が考えた、日本との交流のアイデアをお読みください。

 

日本とモンゴルの友好交流をどう進めるか

 友好とは友達と同じ意味です。今日のテーマを聞いて、まず日本とモンゴルは友達になれるような国だろうか、と思いました。日本は世界の先進国の一つです。しかし、モンゴルは正直に言うと、下から探したほうが速いです。そんな違うレベルにある国がどうやって友達になって、両方にとって利益がある状態で交流しますか。私は経済の交流に注目してみました。

 去年、モンゴルで世界的な経済セミナーが行われました。このセミナーで出た話によると、日本とモンゴルは経済交流をもっと進めるために頑張っているそうです。でも、日本とモンゴルの貿易はとてもバランスが悪いです。モンゴルと日本の貿易はほとんどが日本からモンゴルへの輸出です。モンゴルから日本への輸出はたったの4%、主にカシミアの輸出です。これは残念なことだと思います。もし日本が他の国から高い値段で買うことを辞めて、モンゴルから安く輸入したら、このアンバランスが直り、モンゴルにもっと利益が出ると思います。

 では今から、何を中心にして日本とモンゴルの経済友好流行を進めるか話します。それは肉の輸出です。日本はオーストラリアやアメリカやカナダなどから牛肉を輸入しています。そして、モンゴルの2017年の国内総生産の6倍近いお金をこの国々に払っています。一方、モンゴルには牛が440万頭いて、日本の4年分の牛肉の全消費量を提供できます。ある計算によると、日本もモンゴルから牛肉を買ったら、日本人は今の8分の1の値段で牛肉が食べられる可能性があるということです。そして、モンゴルは、これが実現すれば国内総生産が5%増えるというのです。

 もちろん、問題が一つもなく、ものごとが完璧にいくことはありませんから、牛肉を輸出することになったら、色々な問題が起こります。私の考えでは2つの大問題があります。まずは肉の安全性、次は「日本人が食べるか」ということです。

 安全性について言うと、現在、日本は「モンゴルからの馬以外の家畜・食肉の輸入は、家畜伝染病予防法により禁止している」という状況です。しかし、日本から科学者を送ってもらい、日本とモンゴル共同で安全な工場を建てて、牛に毎年ワクチンを打つことにしたら大丈夫だと思います。また、モンゴルには家畜伝染病が起こらない地方もあります。南の県には起こりません。この県から輸入してもいいです。加えて言うと、モンゴルでは今まで牛肉を食べて人が亡くなった事件はありません。

 では、もう一つ、日本人が食べるかどうかという問題があります。私はモンゴルの肉を使って、日本式のしゃぶしゃぶを出している店でアルバイトをしています。日本人のお客様達の様子から見ると、日本人はモンゴルの肉を楽しく食べられているようです。日本には「為せば成る為さねばならぬ何事も。成らぬは人の為さぬなりけり。」という諺があります。やって見ないで、色々な問題が起こるから、無理だと言えません。

 また、私は以前、日本で肉を扱っている有名な会社の方と肉の輸出について話す機会がたまたまありました。彼の話によるとモンゴルの肉は美味しくて、モンゴル人は肉の食べ方をよく知っているんですが、世界にどう売るか、売り方がわからないそうです。分からないことを教えるのは友達の義務だと思います。モンゴルはおいしくて安くて安全な肉を提供しますから、日本がこの点で協力してくれれば、カシミアだけではない交流が広がると思います。肉の輸出を通じて、人と人との交流も増えるでしょう。交流の機会が増えれば、もちろん友達としてのきずなも強くなると思います。

 肉を中心にして日本とモンゴルの経済友好交流を進めましょう。