基本情報

ラオス・日本法教育研究センター概要

ラオスは、日本の法整備支援重点国のひとつであり、名古屋大学大学院法学研究科も、これまで法学教育を通じたラオス司法関係機関の人材養成支援を継続して実施してきました。2008年2月には、ラオス国立大学法律政治学部は、日本法研究情報室を開設し、日本とラオスの法律の交流拠点として活動をしてきました。ラオスとの法律・政治に関する学術交流と人材育成へのさらなる貢献を目指し、2014年2月、ラオス・日本法教育研究センターを開所しました。

主な教育実績

センターは、ラオス国立大学法律政治学部の学生に対して日本語教育を実施しています。2014年11月に一期生を迎え、日本語能力と日本法の基礎知識を習得させ、日本での短期研修にも参加しました。また、法務省、JICA等の協力により、随時、日本法を学ぶ機会を提供しています。

また、2016年からは、文部科学省・大学の世界展開力強化事業「ASEANと日本を繋ぐ“グローバル・ソフトインフラ基礎人材”育成プログラム」により、学生交流事業が開始しました。名古屋大学からは2年に1度10名程度の短期派遣学生を送り、ラオス国立大学法律政治学部の学生と交流するとともに、ミャンマーの法律関係の機関を訪問します。また、ラオス国立大学法律政治学部からは、毎年2名の学生を半年間交換留学生として名古屋大学に受け入れています。

名古屋大学とラオス

名古屋大学は、2001年にラオス国立大学と学術交流協定を締結し、文部科学省国費留学制度や、人材育成無償支援(JDS)事業により、市場経済化に必要な法整備のための法司法分野の人材育成や、アジア諸国のナショナル・リーダーを養成するヤング・リーダーズ・プログラム(YLP)により医療行政に携わる人材を育成してきました。特に、法律・司法分野では、これまでに、ラオス国立大学、国会、司法省、最高人民裁判所等から30名を超えるラオス人留学生を受け入れ、帰国後はラオス政府の法律起草作業、JICA法整備支援プロジェクトの運営委員会、ワーキンググループに参加し活躍しています。全学では、すでに50名を超える同窓生を輩出しており、 2012年12月には名古屋大学全学同窓会ラオス支部を設立しました。そして2015年10月には、名古屋大学アジアサテライトキャンパス学院を設立し、政府機関の幹部や大学教員などの国家中枢人材を対象に、長期に職場を離れることなく博士号取得を可能とするプログラムを開始しました。

ラオスの特徴

ラオスは、1975年12月に社会主義体制に移行し、ラオス人民革命党を中心とする一党支配体制を現在も維持しています。一方で、1986年に「新経済メカニズム」と呼ばれる経済改革を開始し、諸外国からのラオスへの外国投資を促進し、2012年には世界貿易機関(WTO)に加盟するなど、市場経済化が推進されており、関連分野の法整備が課題となっています。ラオスは、中国、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマーに接する内陸国であり、1997年には東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟し、2000年以降にメコン流域開発が進展し、2015年にASEAN共同体に参入を予定する中で、従来の「開発の遅れた内陸国」から、「地域の交通・交易の中継点」としての位置づけが重視されています。日本は1991年から最大の対ラオス支援国であり、2008年には日本との間で二国間投資協定が発効し、日本からの民間投資も増大しています。ラオスでは、市場経済化と国際基準に適合した法整備、国境を越えた法律分野の国際協力のための法情報と法律専門家の養成が国の課題となっています。

大学紹介

ラオス国立大学法律政治学部は、1986年に司法省の下に設置された法律学校が前身であり、1997年にラオス国立大学の1学部として編入されて設立されました。ラオス国立大学は、1996年に設置されたラオスで初めての総合大学です。法律政治学部には、約110名の教員および約2800名の学生が在籍しています。学部には、民法学科、刑法学科、ビジネス法学科、政治学科、国際関係学科の5つの学科が設置されており、4年間の学部レベルの教育を行っているほか、2009年からは法学の修士課程が開設されました。

名古屋大学とラオス国立大学の交流の沿革

2001年4月
ラオス国立大学と名古屋大学の間で全学協定を締結
2008年2月
ラオス国立大学法律政治学部が、日本法研究情報室開設
2014年2月
ラオス国立大学法律政治学部内に、ラオス・日本法教育研究センター開設

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