センターだより
スピーチコンテスト2021
2021/11/20
11月7日に、日本大使館主催の学校対抗日本語スピーチコンテストが「学びの力」というテーマで開かれ、4年生のガンゾルさんとツェースレンさんの2名が大学の部に出場しました。
以下のリンクから動画を見ることができますので、ご覧ください。
https://fb.watch/99wqI5RU0F/
2:35:00からガンゾルさん、
2:53:20からツェースレンさんのスピーチを見ることができます。
そして、ツェースレンさんのスピーチが見事に優勝に輝きました。おめでとうございます!
主催者の許可を得て、以下にスピーチの原稿を掲載します。
「学びの力」
私の毎日は、部屋からも出ずにひたすら勉強をすることです。つまらないように聞こえるかもしれませんが、これは事実です。それで、いつもこんなふうに言われます。「あなたは勉強が大好きだね」と。実は、そうではありません。 私は勉強は好きではあません。学ぶのが好きなのです。なぜなら、本を読んで内容を覚えたり、試験を受けてよい点を取ったりする勉強は大変ですが、自分で経験したり、大切に思えることから学んだりしたことはずっと心に残るからです。そこで、なぜこのように思うようになったのか、今でも覚えている私の学びの経験について、紹介します。
小学一年生の時、「私は陸上透技のサークルに入りました。ふつう、このサークルでの運動は難しいので、十歳以上の子どもが入れることになっていました。しかし、兄がこのサークルのメンバーだったので、一緒に行きたいと言って、七歳の私も入れることになりました。それで、毎朝走ってから準備運動をしそれから、レースをしていました。
ある日、準備運動をしているうちに、怪我をしてしまいました。あまりの痛みに歩くこともできませんでした。しかし、それからレースに出ないといけませんでした。しかも、私にとってはこのレースは重要なものでした。しかも、七歳でも自分ができるということを見せたかったのです。そこで、怪我をした足で走り始めました。しかし、もう一方のランナーとの間の距離は最初から大きく、七歳の自分は心細く感じました。その瞬間、サークルの他のメンバーの「がんばれ!」、「できるよ!」と私を応援している声が聞こえました。私にとっては、何も見えない暗闇の中みたいな止まらない痛みだったのですが、この応援はその暗闇の中の光のように聞こえました。おかげで、ゴールまで走りぬくことができました。
でも、勝つことはできませんでした。悔しかったです。しかし、ゴールしたとたんに、コーチが私に一つのことを言ってくれました。「本当によくできました。最初から最後まで止まらないで走りぬきました。こんなことは大人でもできませんよ。素晴らしい」と。このような温かい言葉、雰囲気を期待していませんでした。この時、レースには負けけましたが、実際には勝ったのは、私だと思います。なぜなら、その後の人生でずっと忘れられない新しい学びを得たのは対戦相手ではなく私で、その点において、勝ち負けはもうあまり重要ではなかったからです。
この経験から、私は自分が始めたことの結果を勝ち負けではなく、どのように見るかを学びました。つまり、自分がした何かの結果には友情が関係していること、それに気づく新しい学び、そして学びによる個人の成長などのもっと大切なものが存在するのです。この世界には競争の勝ち負けだけでなく、まずは無理に見えても新しいチャレンジをするべきであること、そこから学べる教訓がたくさんあるということに気づきました。そして、結果がどうであろうと、最初から最後まで諦めずに生きて行くのが重要なのです。
私の夢は脚本や作曲など全部できる映像作家になることです。一つの作品を通して多くの人に感動を与えることは素晴らしく思われます。そこで、七歳の時の経験から得た学びは、今、二十歳の私に夢をかなえるための旅の途中で、どんな困難があっても止まらずに毎日を一生懸命生きて行く力をくれました。ですから、どんなにつまらないように見えても、私は毎日家で勉強しています。そうすることに大きな意味があるということを今の私は自信を持って言えるからです。夢を叶えるその日まで、止まらずに走り続けます。
第11回修了式
2021/09/22
9月19日に、6月から延期してきた修了式を行うことができました。修了証を受け取ったのは、昨年よりもさらに多い12名です。みなさん、本当におめでとうございます!
いただいたメッセージ、祝辞の一部を紹介したいと思います。
増田知子・法学研究科長
「皆さんは、大変高度な日本語能力を修得されたと聞いています。日本語能力試験のN2に9名の方が、N1に3名の方が合格し、また、様々なコンペティションに参加し優秀な成績を修められました。さらに、日本法を学習する基礎を学び、日本法に関する論文を書き、発表することにも挑戦されてきました。
その結果、名古屋大学大学院法学研究科をはじめとする日本の大学院に進学される方、弁護士事務所に就職される方、アメリカに留学される方、そして、これからも留学を目指して勉強を続ける方がいらっしゃると聞いています。
このように日本法教育研究センターが、モンゴルと日本の発展を担う人材を輩出できていることを、大変誇りに思います。
ところで、2019年冬から現在に至るまで、COVID-19 により、学生生活が大きく制限され続けたことは、大変残念なことでした。昨年の夏季セミナーについては、COVID-19 の感染拡大のため、名古屋に来ることができず、大変残念な思いをされたことと思います。私も皆さんにお会いすることができず、大変残念でした。
しかし、センターの先生方と学生の皆さんが、より一層の努力と工夫を重ねてこられ、この困難な状況を乗り越え、本日の修了式を迎えたたことは、素晴らしいことだと思います。」
藤本亮・CJLセンター長
「みなさんは5年間の大変厳しい勉強を無事に終えられて本日のめでたい日を迎えました。
大学の勉強だけでも大変なところ、日本法教育研究センターの大変厳しい勉強を頑張ってこなしました。しかも昨年からのコロナウイルス感染の影響でなかなか大学にも来れず、大変な苦労をして勉強されてきました。
まずはこのことについて自分自身をたくさん褒めてあげてください。これからの人生で苦しいことがあったら、日本語教育研究センターと大学で頑張って勉強したこと思い出して、自分に自信を取り戻してください。
そして、ここまで皆さんの人生と勉強を支えてきてくれた皆さんのご家族や友人、日本法教育研究センターと大学の先生たち、先輩たち、同級生に心から感謝しましょう。皆さんは一人で生きていくことはできません。これからも皆さんはたくさんの人にお世話になることと思います。その感謝の気持ちを忘れずにいてください。それとともに皆さんがこれから生きていく中で、条件が許す限り、周りの人の支えになるように努めて下さい。皆さんが人生の先輩たちからしてもらったこと皆さんの後輩たちにしてあげてください。そのようにして私たち人類は経験と知恵を蓄積してきたのです。」
ソヨル・エルデネ(在校生による送辞)
「卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。
おめでとうというより、おつかれさまでした、ですね。モンゴル国立大学法学部に入学して、日本法センターの試験を受けた瞬間からはじまった『自分との戦い』が今日やっと終了しました。みなさんは毎日頑張って、毎日自分自身と戦っていましたね。いま、その長い旅が一旦終わって、深呼吸して、汗を拭いている時期だと思います。モンゴルと日本の法律を同時に学びながら、日本語を学ぶことは、簡単なことだったと決して思いません。会うたびに睡眠不足のせいで、抜けて薄くなっている髪の毛の話をしていましたね。毎日の小テスト、中間・期末試験、スピーチコンテスト、レポート、壁新聞、学年論文、研究計画、バヤルサイハン先生の法学理論の口述試験などのみなさんを徹夜に追い込んだ出来事がさんざんあったと知っています。ですから、みなさん、おつかれさまでした。私にとってみなさんは一番優秀な先輩であり、一番見本になってくれたクラスメートであり、大好きな友人でもあります。これからみなさんは成功にあふれた、笑い声で彩られた、本当に輝かしい道を歩んでゆくと思います。ですが、また新たな自分との戦いが始まるのではないかと思います。ゲームで言うと、新たレベルに入りました。日本法センターで学んだこと、先生方に教えていただいたことを、その知識を武器のように使って、戦い続けてください。卒業生のみなさんの今後のご健康とともにおよび将来のご活躍を心からお祈り申し上げます。最後にもう一度、おめでとうございます。」
ノロブスレン(修了生による答辞)
「最初に、いつも応援してくださった日本法センターの先生方に感謝の意を表したいと思っています。ここにいらっしゃる先生方、ZOOMでご参加の先生方、本当に有難うございました。また、このような素晴らしい方々に出会える機会を与えてくださった名古屋大学にも感謝を申し上げたく存じます。この5年間は本当にあっという間でした。人生でも最も楽しい時間でした。この5年間で日本語、日本法の勉強に限らず、日本法センターのみなさんと家族のようになり、みなでたくさんの楽しい思い出を作ることができました。これも私たちにとって一生忘れられない思い出です。そして、大事な人生の勉強にもなりました。
私たちの学年はセンターが設立されて以来、最も人数が多かった学年でした。大勢のクラスメートとの大学での思い出がよみがえります。授業が終わっても先生方が帰るまで、鍵を借りて教室に残って、宿題やテストの準備をしたり、土曜日や日曜日でも[日本語]能力試験の準備をしたり、みんなで議論したり、教室でご飯を作ったり、出し物の準備をしたり、映画会をしたりもしましたね。この大学時代の思い出は、大学やクラスメートに対する何にも代えがたい、強い絆を作り出してくれました。
学生生活の最後の2年間は、新型コロナウイルスにより、遠隔授業の形で勉強することにもなりました。毎日、普通だと思って、当たり前にしていたことがどのくらい価値のあることだったかを骨身にしみて感じました。もしその2年間を大学で繰り返すことができていれば、より楽しい生活を送れていただろうと後悔するときもあります。今のクラスメートの12人のうち、4人が奨学金を受け、大学院に留学することが決まっています。クラスメートが多いだけに、切磋琢磨して皆で競い合い、お互いに力を伸ばしあってきた成果の一つだと誇りに思っています。しかし、これは私たちだけではできることではありませんでした。最初は日本語の一切がわからなかった私たちをここまで育て導いてくださった、ここにお越しくださっているみなさまのおかげです。お礼の言葉を言っても、言い尽くせません。
最後に、修了生として、ここに来られなかったクラスメートについて話させてください。私たちは1年生のとき16人でしたが、今は12人、1人は今5年生ですが、残りはセンターを辞めました。しかし、私たちにとって、彼らは間違いなくみんな、クラスメートです。一緒にこの感謝と喜びを分かち合いたいと思っています。
それではクラスメートのみなさん、おめでとうございます。
これまでよくがんばりましたね。これからはみんなそれぞれ、人生の道を歩んでいくだろうと思っていますが、一緒に作った思い出を心の海に、一緒に問題を乗り越えていった瞬間を思い出しながら、新しい旅を、新しい未来を楽しんでください。もちろんこれからも多くの困難にぶつかるだろうと思いますが、今まで頑張ってきたみなさんなら、きっとできるはずだと信じています。
最後にもう一度、一緒に頑張ってきたクラスのみなさん、いつもご指導くださった先生方、お世話になったビャンバさん、ご列席のみなさま、心から感謝を申し上げます。これからも一生懸命頑張っていきます。有難うございました。」
アマルサナー法学部長
「私も日本に留学した経験があるのですが、日本語は非常に難しい、努力がたくさん必要になる言葉です。みなさんこの5年間よく勉強し、頑張ったことは将来にもつながると信じています。よくがんばりましたね、ということと、おめでとうございますということを伝えたいと思います。」
20Dec2020 第19回大学対抗交渉コンペティション
2021/06/02
11月14日・15日に開催された「第19回大学対抗交渉コンペティション(INC)」において、モンゴル国立大学法学部内日本法教育研究センター(CJLM)の学生たちが「日本語交渉の部」で堂々第1位の成績を収め、特別賞を受賞しました。
INCは、住友グループの後援により、2003年から上智大学にて開催されている模擬仲裁・模擬交渉の国際大会です。
新型コロナウイルスの影響で、今回はZOOMでの開催となりましたが、国内外の有名大学25校(合計52チーム)が参加しました。モンゴル国立大学からは英語チーム2チーム、日本語チーム1チームの合計15名が出場しました。日本語チームの学生は全員がCJLMに所属しており、また英語チームにもCJLMから3名の学生が参加しました。
問題文は仲裁・交渉あわせて合計50ページ以上にもわたる詳細なもので、参加者は約2か月前から仲裁の準備書面、反論書および交渉の説明資料の作成、プレゼンテーションの練習など、多くの時間を使って準備してきました。東京大学留学中にこの大会に出場した経験のあるO.ノミンチメグ弁護士と、法学担当特任講師が主に指導に当たりました。
モンゴル国立大学は2017年からこの大会に参加しており、CJLMの学生からなる日本語チームが参加した2018年には総合第7位入賞を果たしました。今回は、日本の強豪校を下し、はじめてのトロフィーの獲得となりました。
24Nov2019 第18回大学対抗交渉コンペティション
2020/12/18
11月23日および24日には、上智大学にて模擬仲裁・交渉の国際的な大会である大学対抗交渉コンペティションが開催され、モンゴル国立大学法部から英語チームと日本語チーム合計8名の学生が出場しました。日本語チームは全員がセンターの学生(5年生1名、4年生3名)で、10月から授業への出席を免除され、準備のためにたくさんの時間をかけ、努力してきました。20校以上の有名大学が参加する中、今年度は惜しくも総合で第8位となり入賞を逃しましたが、「何事も経験」、来年度の大会や今後の人生に今回の経験を生かしていってもらえればと思っています。
25June2020 学年論文発表会
2020/12/18
図書館の利用ができず、また例年8月に名古屋に各センターの3年生を集めて行われている夏季セミナーが延期されたことで、懸念されたのが3年生が学年論文を執筆するインセンティブを維持することです。そこで、6月25日にZoomで学年論文の発表会を行い、学年論文の発表の機会を与えるとともに、他のセンター、名古屋大学大学院に留学中の先輩たちとのコミュニケーションを図ることにしました。
当日は、6名の3年生が学年論文についてそれぞれ20分程度発表し、その後15~20分程度質疑応答の時間をとりました。のべ30名以上が出席し、各センターの先生方や学生から多数の質問やコメントをいただくことができ、それを基に学年論文をブラッシュアップすることができました。
※ コンソーシアムニュースレター第7号(2020年7月)3頁から転載