センターだより
2020年を振り返って
2020/12/28
2020年12月28日は、CJLカンボジア年内最後の授業日です。例年は、学生と一緒に、教室や図書室、事務所を大掃除するのですが、今年はそれができません。来年は、できるといいですね。
今年は、文字通りコロナで始まり、コロナで終わる年でした。カンボジアでは、JLPTは、7月も12月も中止となりました。スピーチコンテストもなくなりました(CJLの学生が出場予定でした)。また、本来なら、12月にはCJLカンボジアに1年生(13期生)が入学しているはずですが、高校卒業試験の実施が延期となり、大学に一年生が入学していないため、まだそれが実現できていません。3年生(現在の4年生)にとっては、夏季セミナー(毎年8月に、各国センターの学生が名古屋に集まるイベント)に参加できなかったことが大変残念だったことと思います。
こうして、できなかったことを数え上げれば、キリがないほどですが、この2020年、オンライン授業へシフト変更し、それに伴い、授業や運営の一部のICT化を進めることができたのは、CJLカンボジアにとって意義のある出来事だったのではないかと、筆者個人は思います。そしてこれは一重に、学生たちと、教育にあたる先生方の「学び続けよう!」という強い意志と努力があったからこそです。学生たちは、環境の問題(インターネットや場所の確保など)が多かれ少なかれ、あったと思いますが、それを理由に休んだことはほとんどありませんでした。また、先生方も、新しいツールやアプリの使い方に(筆者含め)苦労しましたが、決して諦めずに、新しい環境や教え方に適応しようと努力してくれました。「日本語教育主任」という肩書きを持つ者として、学生、先生方に本当に感謝します。
近い将来、対面授業に戻っても(もちろん、戻ることを希望していますが)、コロナ前と100%同じ状態に戻ることはないでしょう。この2020年で得た知識や技術は、2021年も引き続き利用し、更なる探求、実践を行っていきたいと思います。
2021年が、皆さんにとってさらに素晴らしい一年になりますように。
執筆担当:レイン幸代(日本語教育主任)
第12回成果発表会 by オンライン
2020/11/05
2020年10月28日(水)第12回成果発表会を開催いたしました。3月から続いているオンライン授業の実践や、各種のオンライン研修に参加した経験から「オンラインでも、できるのではないか?」と考え、今回は初のオンラインでの開催となりました。普段の授業でも利用している、zoomを使って行いました。
*当日のプログラム。ブレイクアウトルームを利用し、会の時間をあまり長引かせないようにしました。
通常は、大学のホールで行っていたため、参加者もプノンペンにいる人に限られました。しかし、オンラインだったらそんなことを気にする必要はありません。SNSを利用して、カンボジア国内にいる人だけではなく、世界各地の人に呼びかけを行いました。その結果、モンゴルやベトナムのセンターの先生や、名古屋にいる先輩、また、センターとの直接の関わりはなかったけどカンボジアに興味のある方など、普段なら参加できない、または参加が望めない方々が多数参加をしてくださいました。
*参加申し込みは、Googleフォームを利用しました。
発表者は、自分たちでスライドを操作しながら、発表を行いました。写真は、3年生のメンツェアンさんが2年次の法学レポートについて発表している様子です。
質疑応答にも、たくさんの質問をいただき、予定よりも30分遅れて閉会となりましたが、最後までたくさんの方が残って聞いてくださいました。アンケートにも、多くの方が回答してくださり、来年度へ向けての改善点が浮かび上がりました。
対面で授業をしたり、発表会をしたりすることが難しい現在の状況で、「やむなくオンライン」となっていることもあるかと思います。しかし、特に教育においてオンラインを利用するメリットはある、と筆者個人は感じています。大学での対面授業が戻っても、それは8ヶ月前の状況に全てが戻る、というわけではありません。オンラインの方がいい、と感じた点は、引き続き教育に取り入れていきたいと考えています。そして具体的に何が「オンラインの方がいい」のかの見極めが、今後は必要になるのではないかと感じています。
成果発表会にご参加くださった方には、改めてお礼申し上げます。今後とも、どうぞよろしくお願い致します。
執筆担当:レイン幸代(日本語教育主任)
CJLC同窓会主催「キャリアトーク」
2020/10/12
2020年10月10日(土)、CJLCの同窓会メンバーである修了生たちが、後輩たちのために「キャリアトーク」という会を開いてくれました。
カンボジアの大学生は、日本の大学生とは違い、「卒業してすぐに就職する」のが普通ではありません。自分が留学したいのか、仕事をしたいのか、どんな仕事をしたいのか、卒業してから時間をかけて考える人も、少なくありません。「新卒で就職できなかったら、その後の人生が終わりだ」くらいの切迫感のある日本社会から見たら、随分とのんびりしていますが、それは決して悪いことではないと思います(筆者の個人的意見です)。しかし、修了生の中には「もっと、キャリアについての知識や情報が欲しかった」と思った人もいるようです。そのため、土曜日の午後、修了生の先輩たちが、後輩(主に4年生)に向けて、キャリアについて考えるチャンスを作ってくれました。
オンラインで、2、3年生も参加しました。
留学経験のある人、弁護士になった人、民間企業に就職した人、公務員になった人、いろいろな職種の先輩たちが集まってくれました。この場をきっかけに、先輩、後輩のつながりがさらに強くなるのはとても嬉しいことです。同窓会の皆さん、忙しい中、そして雨もすごかったですが、集まってくれて、本当にありがとうございました。後輩たちも、先輩たちのアドバイスを胸に、目の前の宿題や試験のことだけではなく、少し先の、自分の将来についても是非目を向けてほしいと思います。
(執筆担当:レイン幸代[日本語教育主任])
ソチェターさんの特別講義(2020年5月25日)
2020/08/01
2か月ほど前の話題になりますが、修了生による特別講義について、紹介いたします。
2020年5月25日、クンティアー・スレイソチェターさん(3期修了生)による、4年生3年生向けの特別講義が実施されました。
ソチェターさんは、「国費留学制度」(文部科学省が在カンボジア日本国大使館を通じて実施する留学制度のこと、通称MEXT)を利用して、2018年3月から2年間、東京大学大学院法学政治学研究科に留学して、この3月に修士号を見事取得しました。
専攻は民法です。
ソチェターさんは、研究生時代のことを含めて、日本語と法学のそれぞれの勉強方法、研究生活の状況について、自身の経験をわかりやすく話をしてくれました。
とりわけ、「当初の研究テーマが、最終的な修士論文の完成に至る過程において、どのように変化したのか」、「資料収集の苦労」、「研究の面白さ」などは、学生たちのみならず、学生を指導する教員にとって、大変示唆に富むものでした。
また、ソチェターさんは、4年生や3年生たちに対して、「ケーキを美味しく作りたいときに、まずケーキを味わう」、すなわち、「優秀な論文をよく読む」という素晴らしいアドバイスをしてくれました。
ソチェターさん、本当にありがとうございました。
今後のご活躍を祈念しております。
2年生、3年生も修了しました!
2020/07/27
4年生の修了式(卒業式)が行われる前、同じ日、2020年7月23日に、2年生と3年生の修了式も行われました。こちらは完全オンラインです。
まずは最初に、2年生(11期生)。6名が修了しました。11期生を代表して、レアクスメイさん(画面向かって右側の、上から2番目の人)がスピーチをしてくれました。1年間で、クラスメートとの関係が深まかったこと、これからも一緒に頑張ろうという、短い時間で書いたとは思えないほど、立派なスピーチでした。
次に、3年生(10期生)。こちらも6名が修了しました。10期生を代表して、ヴィヴァットさん(画面向かって右側の一番上の眼鏡をかけた人)がスピーチをしてくれました。「七夕に私がお願いしたから、皆さんが修了したわけではありません。みんなの努力の結果です」。はい、もちろん、その通りです。
1年生(12期生)は、勉強を開始した時期が違うので、修了式はもう少し先です。
オンラインになったからといって、学力の面で何か大きな影響があったとは思わない、というのが教師一同の感想です。むしろ、大学の授業時間や通学にかける時間が短くなったことで、CJLの勉強がもっとできるようになった、という話も、学生からはありました。
一方で、今後考えていかなければならないこともあります。それは、「学生同士の関係づくり」です。CJLは、横(同級生)の結束力も強いですが、縦(先輩・後輩)のつながりも、非常に重要です。これまでは、図書室で一緒に勉強したり、イベントへの参加などを通じて、自然に、そのつながりが生まれていました。しかし今年はそれが難しく、特に1年生は、2019年12月中旬にCJLに入学してから約2ヶ月でオンライン授業に切り替わり、横のつながり自体も作ることができていないままである可能性があります。
そのため、今教師としてできることは、学生同士がつながる「場」を作ることではないかと考えています。勉強とは関係なく、集まって、おしゃべりがしやすい「場」を定期的に、継続的に、提供していくことが、今後の課題です。
カンボジアでもオンライン授業が今後も続くのかどうか、先行きは全く不透明です。しかし、今からできることを少しずつ実践していきたいと思います。どなたか、「カンボジアの大学生とおしゃべりしたい!」という人がいましたら、ぜひお知らせください。
(文責 レイン幸代[日本語教育担当])